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キダチヒダゴケ

Thamnobryum plicatum

2018/10 猪八重渓谷(宮崎県日南市)

2020/3追記 Thamnobryum属の分類は現状でははっきりと定まっていないと識者からお聞きしました。葉が凹むのは大抵、T. subseriatumオオトラノオゴケだそうです。中肋上部の歯は識別ポイントにはならないとのこと。となると、これはオオトラノオゴケの可能性が高いようです。

 

オオトラノオゴケかと思いましたが、中肋上部に歯がありませんので、キダチヒダゴケでしょう。

渓谷沿いの岩壁に生えていました。

 

2. 一次茎は地表を這い、二次茎は5cm以上になります。

 二次茎の上部は樹状に枝が出ています。枝はやや偏平気味についています。

3. 二次茎上部の葉。やや偏平につくかな。葉は舟形に凹みます。

4. 枝の先端付近は、葉を丸くつけます。葉の大きさも小さいけど、やはり舟形に凹みます。

5. 二次茎下部。小さめの葉がまばらにつきます。

6. 二次茎の葉。長さ3mm。先端付近には大きな歯、全体に微歯があります。

7. 二次茎の葉の先端。オオトラノオゴケの歯ほど大きくはない印象。

8. 二次茎の葉身細胞。葉中部では長さ25㎛、幅7㎛くらい。やや厚壁ですが、平滑でくびれなどなし。

9. 二次茎の基部。葉縁の細胞は短いが、中肋付近は長く、最大で100㎛くらいになります。くびれもあり。

 細胞長は、葉先付近で短く、基部に向かうにつれて長くなります。

10. 中肋先端を背面から見たところ。オオトラノオゴケのような大きな歯はありません。

11. 枝先端付近の葉。長さ1.5mmと小さいが、構造的には二次茎の葉との違いは見られません。

12. 二次茎下部の葉。長さ1mmあまり(顕微鏡の倍率が他の葉と異なっています。)