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イブキタチヒダゴケ

Orthotrichum cupulatum

2018/5 伊吹(滋賀県米原市)

 

イブキタチヒダゴケの標本をいただきましたので、観察してみました。

日当たりの良い、石灰岩でできた石垣に生えていたそうです。

 

1. 蒴をたくさんつけています。

 葉は乾くとやや縮れ、縦しわが目立ちます。

2. 茎長は1cm程度。

3. 湿ったところ。葉が外曲しているのが目立ちます。

4. 蒴は苞葉からわずかに上に出る程度です。

 乾くと蒴には8本の縦しわが寄ります。内蒴歯は見当たりませんでした。

5. 葉は長さ4mm近くあります。全体が強く外曲し、葉先は鋭頭です。

6. 基部の細胞。やや厚壁。パピラは見当たりません。

7-8. 葉中部。10-15㎛くらいで、パピラが各細胞2個くらい見えます。

9. 中肋は葉先近くに達します。

10. 蒴には気孔があります(沈生)。

11. 外蒴歯の外側にはpreperistomeといわれる小さな歯があるようです。

12. 平凡社図鑑では外蒴歯は16本で、8つの対になっているとされています。今回みたときには、対にはなっていないようでした。

 →専門家から、対に見えるかどうかは「蒴が乾いた状態で皺(襞)が強いか弱いかによるのではないか」との指摘をいただきました。ありがとうございました。

13. 胞子は径15㎛くらいで、多数のパピラで被われています。