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エゾノヒラツボゴケ

Isopterygiopsis muelleriana  2022/8 恵那山(岐阜県中津川市)

 

恵那山の神坂峠あたりには石室と呼ばれる冷気が噴き出る場所がたくさんあります.昔は天然の冷蔵庫として利用されていたようですが,今では苔むして,独特の環境を形成しているようです.

 

このコケは,石室の入り口付近の涼しい場所に群落を作っていました.

薄暗い場所なので徒長したひ弱な感じのコケかと思ったのですが,どうやらエゾノヒラツボゴケのようです.

2. 石室入口付近の石積の表面に生えていました.

3. かなり密集して生えています.

4. 茎は石の上を這い,不規則に1cmくらいの枝が立ち上がります.

 葉はやや光沢があります.

5. 葉は扁平につき,横に広く展開します.

 茎に沿って生える葉も少数ですがあるようです.

6. 茎には中肋は無く,表皮細胞は大きくて薄壁です.

7. 横に着く葉は,非相称に折れたたまれます.

8. 茎に沿う葉.ほぼ全縁で,中肋はかすかです.

9. 葉先はやや急に細くなり,細く尖ります.

10. 葉身細胞は平滑,薄壁で,長さ50-70㎛,幅4‐5㎛.

11. 翼細胞は方形ですが,区画は不明瞭です.

12. 葉腋には線形の無性芽を付けているものもありました.(葉を剥がして撮影)

 よく探さないとわかりにくいですが,この無性芽は独特のつき方のように思います.