トガリフタマタゴケ

Metzgeria consanguinea  2018/9 明治温泉(長野県茅野市)

 

コモチフタマタゴケの標本を見直していたところ、1つだけ植物体が青く染まったものがありました。

乾燥標本が青く染まるフタマタゴケとしては、ヨーロッパ産のM. fluticulosaを考えましたが、この種はもともとはコモチイトゴケM. temperataと認識されていたようで、とても形態が似ているようです。

fluticulosa以外で青くなるものを探すと、M. consanguineaが出てきました。これもtemperataとよく似ていそうですが、文献の記述とはよく合致しているように思われます。

というわけで、これはconsanguineaではないかと思います。しかし、consanguineaとtemperataはシノニムという話もありまして(https://www.britishbryologicalsociety.org.uk/wp-content/uploads/2020/12/Atlas-of-British-and-Irish-Bryophytes-V1-107.pdf)、調べれば調べるほど混乱する次第。

2. 全体が青く染めたようになっています。

3. 枝先はtemperataのように細く尖る傾向があります。

 枝先が特に強く青く染まるようです。

4. 枝先付近に無性芽を少し付けていました。生殖器は見当たらず。

5. 葉縁にはまばらに毛が生えています。

6. 断面。写真では表皮細胞は背腹とも3細胞幅ですが、基本的には写真4、5のように2細胞幅です。

7. 葉身細胞。20-30㎛くらいの大きさ。

8. 枝先に無性芽を付けています。

9. 離脱した無性芽。

10. シリア